母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?の巻き

安威川散策中に拾った運動帽、個人情報の守秘義務が付いて回り、その後どうしたんでしょうね!


    2022年11月24日(木)    kumanoayu
 


写真① 散策中に拾った「赤白の帽子」 出典:写真は AMAZON 通販ページから借用


母さん、僕のあの帽子、どうしたんでせうね?
ええ、夏、碓氷(うすい)から霧積(きりづみ)へゆくみちで、
谷底へ落としたあの麦わら帽子ですよ。
母さんあれは好きな帽子でしたよ。    (映画「人間の証明」から)
                     引用元:「美しい言葉」から。


 年末が近く感じられるようになってきた。去る10月の始め頃であったろうか、
いつもの通リ安威川の散策を終えて「イオンタウン茨木太田店」(散策起点道標から1,2km下流の左岸の付近)に立ち寄った後、ふたたび安威川に足を向けた。店の横に東西に走る自動車道路がある。西に向かって安威川に足を向けた所、ほどなく進むと歩道端に運動会などで良く使う赤白の帽子が前日の雨に濡れたのであろう少し泥が付着していた状態で、無残な姿で落ちていた。


近隣には幼稚園や小学校がいくつか存在する。学校からの帰宅中にランドセルに引っ掛けていた帽子が何かの拍子で外れて落下したに違いないと睨んだ。
秋の学校行事と言えば運動会を連想する。最近は春先に実行する学校も増ぇているそうな。この落とし主も運動会の練習か何かで持参したのであろうか!


写真② 秋を代表する典型的な花「菊(コギク)」


 陽も暮れかかっていたので、取りあえず持ち帰り水洗いで汚れを簡単に落とした。そして、なんとラッキーなことにこの帽子にはフルネームで記名が有るではないか! 残念なことに学校名は記載無し。フルネーム記載は平仮名でスタンプ捺印したような活字調の書体、黒インク捺印であった。
早く調べて本人の手元に返してあげたいな!と思ってその晩は明日はどんなアクションを取ろうかなどと思案して夜が暮れた。


翌朝9時になるのを待って、前夜に調べ上げて置いた近隣の学校と、幼稚園数校(7校ほど)に電話作戦で調査を開始した。私の所持する携帯電話は「架け放題パック」なので国内は何度使っても料金無料と来ている。こんな時は少し重宝感を覚える。

写真③ 同じく秋の菊


 最初に幼稚園に架電したのが有効だった。「幼稚園では赤白の帽子は採用していません。オレンジ色ですよ」と丁寧に教えて下さった。
これでリストアップしていた幼稚園4校はオレンジなのでシロである。
早速小学校5校に順番に電話して事の経緯を伝えた。先生はお堅いものとの先入観があったので、ちょっと面倒なことと思っていたが、あに諮らんや皆さん丁重にご対応して下さいました。即刻回答が有る筈が無く、「調べてお返事申し上げる」であったが、いずれも丁重なお礼を添えて下さった。


 ところがその中には電話の向こうで『該当者はおりません』と一発回答して下さった学校があったので少し感激と驚きが走った。仮に各学年2クラスとして12クラス×35名=420名(暫定)ではないか! 瞬時に頭の中で計算した。
教頭先生かそれとも校長先生か!全生徒のことが即座に回答出来るなんて、これは、これはいったい?? 


我  「なんで即答頂けるのか感激と不思議が入り混じっていますが!」
学校 「当校の全生徒数は30 数名なので、すべて掌握しています」 納得。


写真④ 高槻市で朝もや/東から西の方向の南平台方面(11月22日,朝、撮影)


 午後になると全ての学校から回答が来たが「該当者は見当たらず」と言うことでかなり
がっかりした。私のことよりも一刻も早くその主に知らせてあげたいと思っていたからである。
並行して高槻市と茨木市の教育委員会にも背景を説明した文書(E-mail)で昨夜のうちに打診を済ませて置いた。
「個人情報の守秘義務観点から在籍有無は回答不可」とANS があった。
これは予測していた結果であったから、「はい、左様でございますか」とこちらも涼しいものだ。いつもの熱血的感情は十分コントロール出来ている。
「なんでや、理不尽な!」と言う主旨の暴れ方はしない。(修養の成果が少し現われたかしら)発見した場所からしてイオン店に買い物にでも来ていた坊やちゃんとすれば摂津市も調査の範囲になるかも知れない。


写真⑤ 近畿の屋根/大台ヶ原山にて


 私もこの段階で「探偵業」でないので、ええ加減に「お人よし探偵まがい」から手を引くことを選択した。(この文書も長くなってしまって読者諸兄諸氏にも嫌われそうである)
もともと一刻も早くその坊やちゃんの元に戻ればいいなと思って行動したまでのこと。これ以上は手もとに置くことはよろしくない。一刻も早く警察にお届けするのがよろしかろうと決めた。
これがもし犯罪にでも絡んでいるかも知れない物件であれば、事件の解決を引き延ばすことになる要因を醸していたかも知れないのだ。


至近の高槻警察署に届けた。落とし主が現われて無事に解決した時に限り、連絡いただきたいという条件で受理してもらった。顛末くらい知りたいのが人情ではなかろうかというものだ。
しかし落とし主が警察に「遺失届」を提出しない限り、あの赤白帽子は警察の保管庫に眠ったままである。例え帽子に氏名が記載されていてもである。
                               (おわり)

写真⑥ 那智の滝遠景/ 吉野熊野国立公園/ 熊野古道